【短】君と桜色のキス



「ふざけんなよ、歩美」


「ふざけてなんか……っ」


「彼女なんていないって言ってるだろ!」




 その真剣な眼差し。怒った顔。
 翼は本当のことを言っている。



 わたしの勘違い?
 でも、ずっと彼女がいるって思っていた。



 好きな人がいるって思っていたわたしには、とても信じられないよ。



 もう、翼のことが信じられない。



 本当に嫌な女。
 こんなに良くしてくれる翼を信用しないなんて、どうかしている。



 だから、やっぱり離れるしかないんだよ。


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