【短】君と桜色のキス
「誰にあげたの? 第2ボタン……」
「あげたつもりはなかったんだよ」
「貰った人がいるんでしょ?」
「確かに、そうだけど」
追求されて、翼は困っている。
こんなことを聞かれるとは思っていなかったみたいで、言葉を探しているのが丸見えだ。
「告白されたの?」
「……まあ、な」
ズキン……と、胸が痛む。
聞きたくない。それなのに口が止まらない。
「それが好きな人……彼女じゃないの?」
素直じゃないな。違う。わたしは悔しかっただけだ。
翼に好意を持った誰かがいる。想いを告げた誰かがいる。
悔しくて、羨ましくて、情けない自分が嫌になる。