【短】君と桜色のキス



 迷惑をかけないように、そばにいたい。でも、そばにいたら迷惑をかける。



 矛盾した気持ち、行動。
 嫌で、嫌で、嫌で――!
 そんな自分が嫌い!!



 わたしは翼が好きだから。わたしのことで悩む姿は見たくないから――。




「お前、悩み言わねぇから、わからないんだよ!!」




 翼がわたしに叫ぶ。驚いて前を向けば、なぜか翼が泣いていた。




「……言って欲しいんだよ」


「そんなこと言ったって……」


「わかってるよ。ずっと一緒になんかいられない。ずっと同じ進路を歩むなんて無理だ」


「だったら……っ」


「だから、悩みは言って欲しいし、俺も一緒に悩みたい。いつまでも笑っていて欲しいから」


「翼の負担になるよ」


「何に悩んでるかわからないまま、遠くから見てるのってつらいんだぞ」


「わたしを見なくていいじゃない」


「ああ、もう! なんでわかんねえのかな!」


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