【短】君と桜色のキス
百歩譲って、同じ高校を選んだのは許す。
でも、どうして同じクラスで毎日見ている顔を見なければならないの。
わたしの決意が揺らぐ。普通に話しかけてくる翼が憎い。
ダメ。高校になったら、翼と距離を置くって決めたんだから。揺らいじゃダメ!
「歩美、なんか言ってよ」
「……話しかけないで」
「ちぇ、冷たいの!」
翼は飽きてしまったのか、わたしの席を離れる。
これでいい。
翼には翼の世界がある。幼なじみばかりに構ってないで、もっとたくさん付き合っていけばいい。
彼女だっているんだから。