【短】君と桜色のキス



「……ごめん」




 結局、わたしは翼を傷つけた。
 どうしようもないバカだ。




「今までのこと、なかったことにしてよー」




 急に恥ずかしくなって、わたしは翼の腕から脱出。
 その場に座り込む。




「やっといつもの歩美」


「ちょっと聞いてる?」


「なかったことには出来ない」


「ケチ」


「俺の告白、聞いてた?」




 さっきスルーした言葉が蘇ってきて、顔が熱くなる。



 告白、みたいなことされた。
 確かに、わたし……言われて。本当に信じられないことが起こったんだ。




「……あ」


「返事、聞いてない」




 わたしは翼を見上げる。


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