【短】君と桜色のキス



 太陽の光が斜めに彼の髪を照らし、いつもの黒髪が茶色く光る。
 優しく微笑む翼の頬が染まり、耳は真っ赤で、そんなふうに照れているから、わたしまでドキドキしてしまった。



 翼の後ろにうつり込む桜がサラサラと音を奏でるから、急かされているみたいで慌てる。




「俺、ずっと歩美のことが好きだった。あの日も、本当は第2ボタンあげたかったんだけど」




 奪われた第2ボタンのことを思い出して、わたしは笑ってしまった。




「笑うなよ」


「ごめん」




 わたしがどう言おうか迷っていると、翼が右手を差し出す。




「幼なじみやめて、俺の彼女になってください」


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