【短】君と桜色のキス



「彼女……」




 本当は翼のことが好き。



 ずっと好きで、だからこそ中学の卒業式に告白するつもりだった。
 幼なじみをやめて彼女になりたいって思ったから。



 でも、卒業式後に教室に戻ってきた翼の胸にあったはずの第2ボタンがなくて、気づいてしまったんだ。




 ――好きな人がいたのかな。




 きっと誰かの告白を受けて、恋人になったんだ……って。



 それとなく翼の友達に聞いたら好きな人がいるってことがわかって、初恋が終わったと思った。



 告白出来ないまま――。



 でも、わたしはずっと考えて決意したんだ。
 翼に彼女がいるのなら、邪魔をしちゃいけない。


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