恋愛の手引き
夕方、閉館になって、私達は図書館近くにある公園を散歩がてら歩いた。



「怖くて聞けないや」

松原くんは呟いた。

「あいつら、何だか危ういけど、時々羨ましくなるよ」

松原くんは切なそうに笑う。

私も苦笑いをして頷いた。

「ある意味、純愛よね」

本当に羨ましい。

あの二人が感じるドキドキを、どこに忘れてきたんだろう。



「…でも、一度聞いてみようか?」

近くの公衆電話で私は真由に電話してみる。

最初は真由のお母さんが出て、すぐに真由と代わって。

気が引けたけど。

聞いてみると。



『ありがとう、かれん』

真由の照れた声が全てを物語っていて。

電話を切ってから私は松原くんに。

抱き着いていた。
< 43 / 48 >

この作品をシェア

pagetop