お前の隣は俺だから。
残された私を見て薫が驚いていた
「お前、泣いてんの?
あいつと、なんかあったのか?
さっきから意味わかんねーことばっか言ってるけど、ケンカか?
なら、俺がもう一回呼び出してやるから、早く仲直りしろ!!!」
そう言われながら私は首を横に振った
「違うの……
私、薫に言わなきゃいけないことがある。
私、大翔と付き合えて幸せだった。
毎日毎日楽しくて、あたたかくて、幸せだった
本当に、大翔が好きだった」
「うん。知ってる」
「……だけど、
薫のこと、忘れたことはなかった。
一度も。
デートしてても、薫なら、どう言ってくるかな、どんな風に私をバカにしてくるかなって。
バスケ見てても、今の判断、薫ならどうするかなとか。
薫のこと、考えなかった場面がなかったんだよね。
きっと、大翔にそれは伝わってたんだね。」
目の前にいる薫の顔が見えない。
この先を言ってしまうのはすごく怖い。
でも、大翔が作ってくれた場所だ。
私がここで勇気を出さないと、大翔と別れた意味がないんだ。
そう思うと、長年言えなかったことも、言えるような気がした。