お前の隣は俺だから。
「もっかい。
俺の目見て言って」
「ぇ?
だから……薫が好き」
「もっかい」
「薫が好き」
「もっかい」
「はぁ!?私なんでこんな何回も言わなきゃいけないのよ!!!」
「いいから言え。ほら、もっかい」
「…だから!薫のことがす…」
すき
って言いたかったのに、言えなかったのは薫の唇が私の唇をふさいだからだ。
さっきよりも深いキスに倒れてしまいそうだった
背中に回っていた薫の左手がぐっと私の腰を引き寄せて、反対の右手は私のうなじを這い回る
うなじから耳に移動して…鎖骨に移動して…
どんどん下がって
「って待って!!!」
「あ?なんだよ」
「今どさくさに紛れて胸触ろうとした!」
「うん。したけど?」
「はぁ!!?変態!エロ!!薫のバカ!」
全く、この男に隙を見せたら危険だ危険。
「彼女のこと触りたくなんのは当たり前だろうが。
俺が今までどんだけ我慢してきたと思ってんだよ」
「そんなの知らないわよ!!
でも、そんな急いで前に進まなくたっていいでしょ?心の準備ができてない。」
「心の準備ってなんだよ!
そんなもんいらねぇじゃん!俺に任せとけば」
「薫になんて任せてたら、すぐに襲われて終わりじゃない!!」
私たちはそこまで言い合って、2人で顔を合わせて笑い合った
これが私たちなんだ。
彼氏彼女の関係になっても、きっと喧嘩ばっかり、たくさんすれ違って、またきっと傷つく
私たちは不器用だから。
きっとすぐに仲直りして、またケンカして。
だけど、それが私たちらしい。
そーいう形の恋愛だって、いいじゃないか。
今ならそんな風に思える
「あ、そうだ。
忘れないうちに言っとくわ。
お前、またフラッフラどっか行きそうだし。」
「は?そんなことないもん!」
「あるね。ったく、よく聞けよ。
お前がまたフラフラしてたら何回でも言ってやる
お前の隣は俺だから。
忘れんじゃねぇぞ」
そう言って薫は私の頭をツンっとついた
薫……私たちはかなりの時間をかけて、かなり遠回りしてしまったらしい。
たくさんの人を巻き込んで、自分たちもたくさん傷ついた
でも、やっとここに居られる。
薫が言った通りに私も思うけど、ここで薫にも言ってやりたい。
薫の隣は私だから。ね?
ずーーっと2人で幸せになろうね
大好きだよ。
これからもずっと
fin...