一之瀬さんちの家政婦君
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櫂人が告白してくれたあの日から、飛鳥はずっと考えていたことがあった。
自分の今と未来の事。
今まで考える余裕さえなかった色んな事を。
櫂人は良い人だと思う。
飛鳥が出会った人の中でもダントツ上位の良い人。
彼の告白を受ければきっと大事にしてくれる。
飛鳥が憧れてやまなかった“普通”の生活も彼とならおくれるに違いない。
二つ返事で承諾できなかったのは、飛鳥の心の中でいつの間にか育っていた想いだった。
感謝、お詫び、寂しさ、悔しさ、悲しみ……
この気持ちが何なのか分からない。
神様はなんて意地悪なんだろう……
GPS付きのスマートフォンと一緒に、この気持ちもあの部屋に置いてこさせてくれれば良かったのに。
そうすればお世話になった恩人に迷惑をかけず、がむしゃらに働いて借金を返していけただろう。