一之瀬さんちの家政婦君

「病気じゃないんだけど、この食生活を続けてるとそのうちなりそうだなって……」

「は?」

和真の手が止まる。

悪魔降臨。眉間の皺が三本に。

「ふ、不満とかそんなんじゃないんだよ!料理は本当に美味しくて、アタシには勿体ないくらいっていうか。でも、それと健康は別問題じゃない……?毎食これだと体重は増えるのにお金は減っていくしさ」

思わず早口になってしまう。

自分でも何が言いたいのかよく分からなくて。

和真はとうとうワイングラスを置いて席を立った。

飛鳥の目の前まで静かに歩み寄る。

飛鳥は座ったままの状態で恐る恐る彼を見上げた。

険しい表情が視界に入る。

彼の手が飛鳥の顔に近付いてきた。


余計な事を言ったから叩かれるかも……!


飛鳥は咄嗟にかたく目を瞑る。

「俺に意見しようなんて千年早いんだよ」

そう言って、和真は飛鳥の唇を強引に奪った。

深く深く浸食していく。

閉じられた口も押し開かされ、ワインの香りが彼女の口内に移った。

彼の唇が離れても尚、熱くてクラクラする。
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