一之瀬さんちの家政婦君
大学からほど近い住宅街の一角にその喫茶店はある。
市街地にあるようなオシャレな外観とは異なる古民家風の建物。
飛鳥はポカンと店の看板を見上げる。
“喜島珈琲店”
木製の看板が堂々とかけられていた。
「ここがウチの店。正確にはじーちゃんの店なんだけど」
櫂人は腕をめいっぱい広げて店の紹介をしつつ笑った。
「どうぞ」
「おじゃまします」
飛鳥は促されるまま店内に足を踏み入れた。
モダンな雰囲気の店内。店主の趣味の良さが窺える。香ばしいコーヒー豆の香り。
「ここに座って待ってて」
飛鳥は一番端のカウンター席に誘導される。