一之瀬さんちの家政婦君

喜島さんにだってロクな説明もしないでただ秘密を強要しただけだ。

考えていたのは自分の事ばかり。

思っていた以上に自分が子どもっぽくて、反吐が出そう。

飛鳥はスマホを手にした。

和真からのメッセージは何もきていない。

呆れてものも言えないのだろう。

今の飛鳥にはその気持ちが痛いほど理解できた。

飲み終えたカップを洗って片付けて、飛鳥は自分の部屋で荷物をまとめ始めた。

“秘密がバレたら即解雇”これが契約だったのだから。

軟禁生活に戻すって事は、女としての藤原 飛鳥は一之瀬 和真にとって迷惑な存在でしかないって事だ。

何かしらの迷惑が彼に降りかかる前に出て行こう。


逃げるんじゃない。


借りたお金は一生かかってでも返していく。
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