日向くんを本気にさせるには。



けどできなかった……



「っ…な、なんで…」



グイッと腕を引かれて
誰か確認する暇もないくらい


後ろからすっぽりわたしの身体を包みこんで離さない


少し細いのにわたしの身体を抱きしめて離さないこの腕



抱きしめられるだけで誰かなんてわかってしまう自分が今はすごく虚しい…



「…心配した。」


あぁ…この声が好き…
もう全部が好きなの…っ…

どうして…日向くんはわたしを見てくれない…?

どうしようもないくらいあなたが好きなのに



「…こんな時間までどこ行ってた?」


そんな優しい声で聞かないで…
その優しさが、また涙を誘う


「日向くん…には関係ない…っ…、」

声が震えて、言葉が詰まる

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