嘘は取り消せない
車に乗っている時間はわずか数十数分だけど
すごく長い道のりに感じた
病院につき、病室に向かった

倉科さんの病室の回に向かうと、廊下に
倉科さんの両親、樹さんと湊がいた

_______________倉科さんは?

「桜はどこですか!?」
「倉科さんは無事ですか!?」
ほぼ同じタイミングで言葉を発する
「桜は今、立花先生がついてる



だけど、もう永くないらしい」

「え、…………………今、なんて?」
永くない?
誰が?
倉科さんが?

「なんでだよ、まだ、
思い出してもないんだぞ」
「九ノ瀬さん……」
「なんで、倉科さんが不幸になるんだよ」
「九ノ瀬さん、落ち着いて下さい」
「湊はなんで落ち着いてられるんだよ!」

あ……………、
顔を見て気づく
目元が赤くなっていて、それでも倉科さんと同じような無理をした笑顔を、人に
気を使うような笑顔を浮かべてる

「そうじゃないか」

落ち着いてるんじゃない

落ち着いていられるわけないじゃないか

だけど、冷静を装って、

樹さんや、千尋さん、誠さんだけでなく

まだ子供の湊まで

_______________秋月もか………、

「ごめんな、湊 落ち着いてられる訳
ないよな」
「いいんですよ」
「九ノ瀬、桜を信じるんだろ?」
「あぁ」

信じて待つことしか出来ない
俺達には何も出来ない
今、倉科さんに会うことすらできない





病室から看護婦が出てきた

「皆さん!倉科さんの意識が戻りました!」


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