嘘は取り消せない
秋月side
病室から出てきた看護婦の後に続く
「桜!!!」
「目が覚めたの!?」
目の前には前よりもたくさんの管に
繋がれている桜の姿だった
「う……ん、」
小さな声で反応する
今にも消えてしまいそうな声で
「良かった、良かった」
みんなが一斉に話すから何を
言っているかわからない
俺自身何を言っているのかわからない
でも、すごく嬉しくて
だけど桜が発した言葉は、
「みんな、ごめんね」
“ごめんね”
これは迷惑をかけたから?
何に対しての謝罪だ?
「みんなの事、忘れて、ごめんね」
「あ…………、記憶が」
「うん、戻った、よ」
記憶が戻ったということは、俺のことも
覚えてる
あの時のことも
“「じゃあ、死ねよ」
「いつ死ぬかわからないんだろ」
「じゃあ、もう存在すんなよ」
「お前と同じ空間にいたくない」”
俺の身勝手な言葉
_______________桜のことを何も知らないで
_______________桜の気持ちを知ろうとも
しないで
それで、桜を傷つけて
「桜、ごめ、」
「蛍は、悪くない」
「え、」
「悪くない、から、謝らない、で」
ベッドの上には昔と変わらない、優しい顔で
笑顔を浮かべる桜
「私が、ダメ…なの」
「傷つけ、たくないって、勝手なエゴ、で、
もっと、蛍を、傷つけて」
「ちゃんと、は、なせば、良かったの、」
「ご、めんね、蛍」
なんであの時、自分のことを考えてない
なんて思ったんだろう
何も考えてなかったのは俺じゃないか
_______________ゴホッ、ゴホッ
咳き込む口を抑えた手のひらには血が
ついている
それでもなお、話そうとする桜
「お、とうさ、ん、おか……さん、そ、うも
いつ、きにい、さんもほ、たるも、
こ、この、せくんも、き、いてね」
「倉科さん、無理してはダメです!」
喋るのも辛そうな桜を看護婦が止めようと
するが、立花先生に止められる
「言わせてあげなさい」
それは遺言のようで
お別れの儀式のようで
「おと、うさん、おかあ、さん、いまま、で
そだて、て、くれ、て、ありがと……う」
「桜……っ」
「わた、し、ね、おとう、さんた、ちの、
とこ、ろにうまれ、てき…て、
よかっ、たよ」
「俺達も桜の親で、良かったよ」
「桜、私たちの元に来てくれてありがとう」
短いけど、それだけで、愛が伝わる
「い、つき、にいさ、ん、そう、
たく、さん、めいわ、くかけちゃ、たね」
「全然迷惑かかってないよ、桜」
「りつ、きせんぱ、いも、お、もいだせ、た
よ」
りつきせんぱい
璃月先輩
俺の兄
桜をかばって死んだ、兄
「いつ、きに、……さんたち、と、いると、
す、ごくしあ、わせ、だよ あ、りがと」
「お礼を言うのは俺達の方だよ!」
「桜姉!嫌だよ! 離れないでよ!
さくちゃん!」
涙を流し続ける湊
さっきの九ノ瀬との、冷静さは微塵もなくて
小さい子供のように、母親と離される
子供のように、泣きじゃくっている
「う、ん、だいじょ、ぶだよ、そ、うくん」
そして残るは九ノ瀬と俺だけ
「つぎ、ここの、せくん」
「あぁ、しっかり聞いてるよ」
「あのと、きの、へん、じまだ、
だよね……?」
「うん、」
「ごめん、きもち、には、こたえ、れない」
「知ってるよ、ずっと前から、知ってた」
「わ、たしね、ほたる、が……すき、なの」
「分かってるよ、俺はいいから、
大丈夫だから」
「ここの、せ、くん、ありがと」
「俺の方こそ出会ってくれてありがとう」
残るは俺だけ
病室から出てきた看護婦の後に続く
「桜!!!」
「目が覚めたの!?」
目の前には前よりもたくさんの管に
繋がれている桜の姿だった
「う……ん、」
小さな声で反応する
今にも消えてしまいそうな声で
「良かった、良かった」
みんなが一斉に話すから何を
言っているかわからない
俺自身何を言っているのかわからない
でも、すごく嬉しくて
だけど桜が発した言葉は、
「みんな、ごめんね」
“ごめんね”
これは迷惑をかけたから?
何に対しての謝罪だ?
「みんなの事、忘れて、ごめんね」
「あ…………、記憶が」
「うん、戻った、よ」
記憶が戻ったということは、俺のことも
覚えてる
あの時のことも
“「じゃあ、死ねよ」
「いつ死ぬかわからないんだろ」
「じゃあ、もう存在すんなよ」
「お前と同じ空間にいたくない」”
俺の身勝手な言葉
_______________桜のことを何も知らないで
_______________桜の気持ちを知ろうとも
しないで
それで、桜を傷つけて
「桜、ごめ、」
「蛍は、悪くない」
「え、」
「悪くない、から、謝らない、で」
ベッドの上には昔と変わらない、優しい顔で
笑顔を浮かべる桜
「私が、ダメ…なの」
「傷つけ、たくないって、勝手なエゴ、で、
もっと、蛍を、傷つけて」
「ちゃんと、は、なせば、良かったの、」
「ご、めんね、蛍」
なんであの時、自分のことを考えてない
なんて思ったんだろう
何も考えてなかったのは俺じゃないか
_______________ゴホッ、ゴホッ
咳き込む口を抑えた手のひらには血が
ついている
それでもなお、話そうとする桜
「お、とうさ、ん、おか……さん、そ、うも
いつ、きにい、さんもほ、たるも、
こ、この、せくんも、き、いてね」
「倉科さん、無理してはダメです!」
喋るのも辛そうな桜を看護婦が止めようと
するが、立花先生に止められる
「言わせてあげなさい」
それは遺言のようで
お別れの儀式のようで
「おと、うさん、おかあ、さん、いまま、で
そだて、て、くれ、て、ありがと……う」
「桜……っ」
「わた、し、ね、おとう、さんた、ちの、
とこ、ろにうまれ、てき…て、
よかっ、たよ」
「俺達も桜の親で、良かったよ」
「桜、私たちの元に来てくれてありがとう」
短いけど、それだけで、愛が伝わる
「い、つき、にいさ、ん、そう、
たく、さん、めいわ、くかけちゃ、たね」
「全然迷惑かかってないよ、桜」
「りつ、きせんぱ、いも、お、もいだせ、た
よ」
りつきせんぱい
璃月先輩
俺の兄
桜をかばって死んだ、兄
「いつ、きに、……さんたち、と、いると、
す、ごくしあ、わせ、だよ あ、りがと」
「お礼を言うのは俺達の方だよ!」
「桜姉!嫌だよ! 離れないでよ!
さくちゃん!」
涙を流し続ける湊
さっきの九ノ瀬との、冷静さは微塵もなくて
小さい子供のように、母親と離される
子供のように、泣きじゃくっている
「う、ん、だいじょ、ぶだよ、そ、うくん」
そして残るは九ノ瀬と俺だけ
「つぎ、ここの、せくん」
「あぁ、しっかり聞いてるよ」
「あのと、きの、へん、じまだ、
だよね……?」
「うん、」
「ごめん、きもち、には、こたえ、れない」
「知ってるよ、ずっと前から、知ってた」
「わ、たしね、ほたる、が……すき、なの」
「分かってるよ、俺はいいから、
大丈夫だから」
「ここの、せ、くん、ありがと」
「俺の方こそ出会ってくれてありがとう」
残るは俺だけ