嘘は取り消せない
お兄ちゃんが帰ってきて夕飯にする
「久しぶりのハンバーグだな」
「俺、桜姉のハンバーグ好き」
「俺も」
「喜んだもらえて何よりです」

いつもより二人少ない食卓

「なんか、寂しいね」
「そうだな」
「じゃあ、今日はみんなで雑魚寝するか?」
「樹兄、俺思春期真っ盛り」
「私、女ひとり」
「いいじゃないか、たまには」

昔は良くやってたけどなぁ

「ま、良いんじゃない」
「そうだね」


そして今日はリビングに布団を敷き
3人で雑魚寝した

「今度、お父さん達も誘ってみよっか」
「だな」
「お父さん、泣いて喜びそう」



そして、お兄ちゃんも湊も寝たあと
窓から庭へ出て傘をさし、考え事をしていた
誰もいない所で考えたかったから
もちろん、九ノ瀬君の事だ

どうしたら自分の感情がわかるのかな

どうしても数字で測れなかったり、
答えが沢山あったりするものは嫌いだ

「感情も数字で表せたらいいのに」

夕方から振り続けている雨は止みそうにない
それどころか一層強くなるばかりだ

「私の嘘も洗い流してくれればいいのに」


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