嘘は取り消せない

「それで、提案があるの」

「やっと、ゆっくり、1人で考えることが
出来る時間が増えたの」

「だからあと少しだけ、待ってて欲しい」

「私もまだ、答えがどうなるのか
分からない」

「だけど真剣な思いには真剣に答えたい」

堂々と伝える
九ノ瀬君がどんなことを言っても受け入れる
それだけ、私は、九ノ瀬君のことを
真剣に考えたい

「倉科さん」

「ありがとな」

「そこまで真剣に考えてくれて」

「俺はいつまでも待っとくから」

「どんな答えでも受け入れる」

九ノ瀬君もしっかり私の目を
見て伝えてくれる

「やっぱり九ノ瀬君は優しいね」
「しっかり考えて、悩んで、答えを出す」

それが九ノ瀬君の思いに答えることが出来る
唯一無二の方法


張り詰めた雰囲気が壊れ緊張がとける
そしてお互い見つめあっている状態だと
気づく

「………っ」

急いで目をそらす
顔が熱い
恥ずかしすぎる
だけど九ノ瀬君はそんなことお構い無しに
頭に手を置く

「どうせご飯食べてないだろ
一緒に食べようるか？」
「うん！」




そして、今一番会いたくなかった人物と
遭遇するなんて

この時の私は何も知らない