嘘は取り消せない
近くのレストランに入ると
人が沢山いた

「これじゃあ座れない どうする?」
「どうしよう…」
二人で話し合う
席が空くまで待っておくのはなぁ
「ほかのところに行く?」

すると店員さんが駆けつけてきた
「相席でよければ1つだけ空いてます!」
「ほ、ほんとですか!?」
「じゃあそこにするか」
「うん」
「では、案内します」

そして案内された席には

「!」
「あ…」
蛍と
「こんにちは はじめまして」
可愛らしい黒髪の女性がいた

「こ、こんにちは」
「突然すみません お邪魔しましたね」
「あぁ! 全然いいですよ!
人数が多い方が楽しいですし!」
「ではお言葉に甘えて………

ん?倉科さん 座らないのか?」
九ノ瀬君に言われてはっと我に返る

「ううん! 座るよ!」
「ほら、こっち来い」
「失礼します!」
「そんなに固くならなくてもいいですよ〜」

前に座る黒髪の女性はきっと蛍の彼女だろう
なんで今、一番会いたくない人に
会ってしまうんだろう

「デートですか?
可愛らしい彼女さんですね〜」
蛍の彼女が問いかける
「いえ、まだそんな関係じゃないですよ」
九ノ瀬君も笑顔で答える

すると蛍の彼女が前に乗り出してくる
「女の子同士仲良くしませんか?
私は立花菜奈穂 20歳です!」
急に自己紹介されて驚く
「え、えっと、私は倉科桜です!
立花さんと同い年です!」
「倉科さん?」
一瞬、立花さんの声が暗くなる
が、すぐ元の調子に戻る

……………何だったんだろう、見間違いかな

「同い年なんですか! よろしくお願いします」
立花さんが頭を下げるの
それにつられて私も頭を下げる
「お願いします!」

「ククッ、倉科さん頭ぶつけそう」
「えっ!?」
「倉科さん、面白いですね〜」
九ノ瀬君と立花さんに笑われてしまった


「あ! 秋月君! 自己紹介しないと!」
「あ、俺もしないと……」

「俺は九ノ瀬素晴、20歳 よろしく」
「秋月……秋月蛍 20歳 こちらこそよろしく」
「!」
九ノ瀬君が蛍の名前で反応する
そっか、私話したんだった
「あ、九ノ瀬君、大丈夫だから」
そう小声で伝えると、
倉科さんがいいならいいけど……、と
返ってきた

「みんな同い年ですね〜
運命感じそうです!」
立花さん、すごく嬉しいそう
立花さんの笑顔は見てるこっちまで癒される
蛍はすごくいい彼女さん持ったな……

「今日はありがとうございました」
「お邪魔してすみません」
「いえいえ、また見かけたら
声かけてください」

「立花さんお幸せに」
「! はい!」
すごく幸せそうな顔だった
私なんかが願わなくてもきっとそばにいられて
幸せなんだろうな





二人の幸せが永遠に続きますように………


蛍の彼女を見た途端、今までの悩みが
全部消え去った

すごくいい人そうでよかった、
とても優しくて、明るい人でよかった、



何故かこの時、私を混乱させていたものが、
掻き乱していたものがなくなった気がした


だけど、この時、立花さんの笑顔に隠された
本当の顔に気づけたなら、これからずっと先に
起こるような事が起こらなかったかもしれない





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