嘘は取り消せない
11年前_______________

「さくちゃん! すごい綺麗な花!」
「そうだね〜 湊君、どこで見つけたの?」
「あんまり遠くに行くなよ」

僕が6歳、さくちゃんが9歳、
いつ君が15歳

「湊君、すごいね!」
「沢山あるでしょ?」
「これはすげぇな」

いつ君に褒められた!

それが嬉しくて、
「こっちにもあるよ!」

そして、さくちゃんの手を引く



僕が、さくちゃんを笑顔にしなくちゃ!



僕はさくちゃんが病気だってことを知ってた
何の病気かわからないってお医者さんが
言ってた
そして、さくちゃんが1人で泣いてるのも見た

1人は怖いよ
1人は寂しいよ
1人は悲しいよ


絵本でね、よんだの

“ひとりの子は、神様がいらない子だと思って

どっかにつれてっちゃうんだよ”


絶対にさくちゃんを1人になんてさせない


「湊!!!」
いつ君の呼びかけに答えないで進んだ
いつ君に褒められたくて、
さくちゃんを独りにしたくなくて



気づいた時にはさくちゃんと僕は
全く知らないところにいた





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