嘘は取り消せない
「さくちゃん、ここどこ?」
「分かんない」

全く知らないところ
暗くて、木がたくさん生えてる

「さくちゃん、どうしよう………」
「ここで待っとこ!
お兄ちゃんがすぐ来るから!」
「でも…………」
「大丈夫! ね?」
「うん」
さくちゃんも怖いんだよね
だって泣きそうだよ

だけど、僕達がどれだけ待っても
いつ君に、お父さん達に会うことはなかった

当たりが何も見えないくらい真っ暗になる
「うゎぁぁぁぁぁん!」
もう我慢の限界がきて、
泣くことしか出来なくなった
だけどさくちゃんは泣かなかった
「ほら、湊君、泣かないの」
僕の背中を撫でて、そばにいてくれた

「湊君! 約束しよ!」
「やくそく?」

「湊君がね、20歳になったら」

「一緒に星を見に行こ!」

「お星様?」

「うん!」

「そのお星様を見るとね、
元気になれるんだよ!」

「約束だからね」

「うん! 約束!」




それから僕達に眩しい光が当たる
「桜! 湊!」
そして光の中からいつ君とお父さんが見えた
「お兄ちゃん達だよ、湊君!」
「いつ君、お父さん!!」

お父さん達がくるまでの間、
さくちゃんは1回も弱音を吐かなかった

僕を守ってくれた

その日から僕はさくちゃんを守ろうとした
子供だからって危険な目に合わせないように
さくちゃんみたいに弱い人を守れるように

今度は僕……俺が、、
_____________今度は俺が桜姉を、守る番









目の前のベッドで横たわる桜姉を見る
俺が狼狽えていたって桜姉が
目を覚ますわけではない

「樹兄、九ノ瀬さんに連絡してもいい?」
「九ノ瀬君か……………
蛍君には教えない方がいいだろう
桜の今までの努力のためにも」
「うん…………」

蛍さんには申し訳ないけど
桜姉の為だ

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