嘘は取り消せない
湊が部活へ行き、お父さんとお兄ちゃんが
仕事へ行ったあと、私とお母さんだけに
なった

「ねぇ、桜 病院では何してたの?」
「んー 本読んでたよ」
「あら、なんの本を読んでたの?」
「昔好きだった星の本」

昔、一度だけ読んで難しくて
諦めた本だったけど今となれば
すごく簡単なお話で
「あぁ あの星たちが出てくるお話ね」
「そう! 覚えてる?」
「もちろんよ!」

昔の記憶を笑いあって話せるっていいなぁ
すごく心があったまる

「ねぇ、桜」

“塾に行かない?”

唐突な質問だった
でも、高校の分を遅れをとってしまって
いたからという提案
元々退院したら塾へ行こうって話してたし
勉強は好きだったから断らなかった


「じゃあ明日にでも見に行きましょうか
お母さんの友達が塾長をやってるから」
「ありがとう!」

この時の結論が吉と出るか凶と出るか
私はまだ分からなかったんだ
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