嘘は取り消せない
「え、でも、桜姉はそんなこと……っ」
「桜の性格をよく知ってるだろ?」
「あ………………」
桜のことだ
俺たちに心配を、余計な迷惑をかけないように
黙っていたんだろう
「どうして、桜姉は相談して
くれないんだろう
だって………家族なのに…………」
「きっと、家族でも言い難いことだって
あるだろ」
そんなこと言ってるけど、俺だって実際は
なんで相談してくれなかったんだって、
なんで頼ってくれなかったんだって、
すごく思う
「だけど、桜は優しいから」
「桜はなんで幸せになれないん
だろうな…っ」
「あの時だって、いつもと
変わりない日だったのに、」
「なんで、なんでなんだよ……………っ」
桜は幸せになることを許されてないのか?
桜は普通に生活させてはいけないのか?
病気が発症しなければ、今頃蛍君と
楽しく笑いあってたかもしれない
なのに、今では二人の間に大きな歪ができて
それをひとりで抱え込んで
頼ることなんてしない
それが相手にとって迷惑だと考える子だから
優しすぎる子だから
「桜姉にはどこまでのことを
教えたらいいんだろう……」
「九ノ瀬さんには7年前のことを
言ったほうがいいのかな……」
「そもそも、どうやったら記憶が
戻るのかな………」
湊も責任感が強い
桜のことを自分のせいだと思い込んでる
やっぱり桜の弟だな
いつか責任に押しつぶされて心が
壊れてしまいそうだ
それをさせないのが、絶対に止めるのが
兄の役目だ
せおいこむのは俺だけでいいんだ
「九ノ瀬君には俺が話す」
「なっ、樹兄! 俺が……っ」
「あのことは湊にとっても辛い思い出だろ?
だったら俺が話す」
「樹兄が辛い思いすることなんて
ないだろ!」
「たまには、俺にも背負わせてくれ」
「…っ」
桜も湊も自分で抱え込んで、
俺ばっかり何もなくて、
あるとしたら、あの7年前のこと
俺達、兄弟にとっては
なんとしてでも隠し通さなければ
いけないこと
もう二度とあの忌まわしい惨劇を
繰り返さないためにも
今の記憶喪失は初めてじゃないさ
前だってあったんだ
__________桜の一回目の記憶喪失_________
「桜の性格をよく知ってるだろ?」
「あ………………」
桜のことだ
俺たちに心配を、余計な迷惑をかけないように
黙っていたんだろう
「どうして、桜姉は相談して
くれないんだろう
だって………家族なのに…………」
「きっと、家族でも言い難いことだって
あるだろ」
そんなこと言ってるけど、俺だって実際は
なんで相談してくれなかったんだって、
なんで頼ってくれなかったんだって、
すごく思う
「だけど、桜は優しいから」
「桜はなんで幸せになれないん
だろうな…っ」
「あの時だって、いつもと
変わりない日だったのに、」
「なんで、なんでなんだよ……………っ」
桜は幸せになることを許されてないのか?
桜は普通に生活させてはいけないのか?
病気が発症しなければ、今頃蛍君と
楽しく笑いあってたかもしれない
なのに、今では二人の間に大きな歪ができて
それをひとりで抱え込んで
頼ることなんてしない
それが相手にとって迷惑だと考える子だから
優しすぎる子だから
「桜姉にはどこまでのことを
教えたらいいんだろう……」
「九ノ瀬さんには7年前のことを
言ったほうがいいのかな……」
「そもそも、どうやったら記憶が
戻るのかな………」
湊も責任感が強い
桜のことを自分のせいだと思い込んでる
やっぱり桜の弟だな
いつか責任に押しつぶされて心が
壊れてしまいそうだ
それをさせないのが、絶対に止めるのが
兄の役目だ
せおいこむのは俺だけでいいんだ
「九ノ瀬君には俺が話す」
「なっ、樹兄! 俺が……っ」
「あのことは湊にとっても辛い思い出だろ?
だったら俺が話す」
「樹兄が辛い思いすることなんて
ないだろ!」
「たまには、俺にも背負わせてくれ」
「…っ」
桜も湊も自分で抱え込んで、
俺ばっかり何もなくて、
あるとしたら、あの7年前のこと
俺達、兄弟にとっては
なんとしてでも隠し通さなければ
いけないこと
もう二度とあの忌まわしい惨劇を
繰り返さないためにも
今の記憶喪失は初めてじゃないさ
前だってあったんだ
__________桜の一回目の記憶喪失_________