嘘は取り消せない
立花side

九ノ瀬君は思ったより精神が弱い子だった
少し揺さぶってみればすぐ動く

私は秋月君が好き
誰がなんと言おうと好き
だけど伊奈帆の方が好き
今は伊奈帆はいない
未だに目が覚めない
あれからたくさんの時が流れたのに




「あ、おかえり」
九ノ瀬君と話したレストランから出ると
秋月君が待ってた
「うん!ただいま!」
「なに話してたの」
「んー秘密」
「へぇ、別にいいけど」
秋月君は基本私の行動に興味無いよね
それはそれで助かるんだけど

九ノ瀬君と倉科さんのことを話してたんだよ
貴方の尊敬してるお兄さんの話を
してたんだよ、なんて言ったらどうなるかな
まぁ、そんなこと言って今の関係を
崩したくないから


秋月君が私の隣を歩いてくれて
秋月君の瞳に私を映してくれて
秋月君が私に話しかけてくれて


ほんと、これがずっと続けばいいのになぁ




_______________あれ? 私ってなんで
秋月君のことが好きなんだろう
優しいから?
かっこいいから?
何でだろう、




分からないなぁ




ま、今はこの幸せを堪能できたらいいや
九ノ瀬君はしっかり倉科さんに
伝えてくれるかなぁ
九ノ瀬君には脅すようなこと
言っちゃったけど
別に殺すつもりは無いし、直接会いに
行くつもりもない
だけど、少しは辛い思いを
してもらうかもだけどね

「ふふっ」
「ん?」
「いや、何でもないよ




ただ、幸せだなぁって」




本当に人の不幸って幸せになるなぁ



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