嘘は取り消せない
ずっと他愛ない話をしていると
ふと桜姉が視界に入る
「桜姉、疲れた?」
「いえ、大丈夫です……」
「無理はするなよ?」
「はい…」
少し顔色が悪い
そして歩くスピードが落ちてきてる
明らかにおかしい
それから桜姉の歩くスピードに
合わせてゆっくり歩く
すると途中で桜姉が立ち止まって咳き込んだ
「倉科さん!?」
「桜姉どうしたの!!!」
「少し、体が重いです……」
「え、」
「倉科さん中戻るぞ」
「桜姉病院まで歩ける?」
「はい」
そして病院まであと少しというところで
_______________バタッ

「桜姉!!!」
「倉科さん!!!!」

突然意識を失った

急いで病院の先生を呼んでくる

そこで、兄さんの予想が当たってしまった
「倉科さんは病気が再発していました」
「え、そんな………」
「待ってください 再発してましたって
もうしてたってことですか!?」
え……………
「はい、病気が進んでいます
今まで症状が現れなかったのが
奇跡に近いくらい」
「そんな…………」
「どこまで進んでるんですか!?」
「あまり言いたくありませんが前回の
進行状況よりも酷いため次は治るか
どうかわかりません」




さっきまでの幸せはどこに行ったのかな
幸せの後に絶対不幸が来る
そんなこと分かりきったことじゃないか
だって、それだったら思い出す時に
どれだけ小さな不幸や、幸せでもこれから
来る大きな不幸に比べたら全然幸せだって
思えるじゃないか
なんだ、簡単なことだったんだな


「どんな些細なことでも幸せだって感じたら
絶対次に絶望が待ってるんだ」

なんで気づかなかったんだろうな
桜姉、ごめんね
俺が変わりになってやれなくて





俺が幸せを感じてしまって



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