嘘は取り消せない
NOside

ビー……、ビー……、ビー……

夜中の病院で一つの部屋から

鳴り響くナースコール

どこかからか聞こえる人が走っているような
足音


そして、鼻歌が聞こえる

「~〜~~♪ あ、もうすぐこっちに
来ちゃうかなぁ」

「じゃあね、倉科さん」

「うふふ、もうそろそろ死んでよね」



女性の声

場に似合わず明るい声

その顔は暗くて見えないけど、

手に持っているものは、鋭利なハサミ







「こっちです!」

「倉科さんの部屋か!」

「急げ! 一瞬の遅れが命取りになる!」

病室ではベッドで眠っている女性と

女性の体に“繋がれていたはず”の無数の管が

散らかっている

女性に抵抗した後は見られない

傷も見られない

だけど安心はできない






「一体誰がこんなことを……っ」

眠っている女性の命を繋ぎ止めていた管

それがすべて途中からすべて切られていた






その日はちょうど、








立花伊奈帆さんが安楽死させられた日だった





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