人魚姫のカウントダウン
ケーキを切り分けて彼の前に差し出した。
「さ、食べて。これを食べてくれたら帰ってくれていいから」
のっそりと彼は顔を上げる、その瞳にはいっぱいの涙を浮かべて。
唇を噛みしめて私を見つめる。
「ごめんっ!」
彼は深々と頭を下げた。
あぁきた。
言い訳?
見苦しいわね。
フフフ。
だけどこれでもうあなたの声をきくこともできないんだし、最期の言葉、とくときいてあげるわ。
彼は再び顔を上げる。
それは苦渋に満ち満ちた表情。
フフフ。
まだ早いわよ、そんな表情をするのは。
これからよ、あなたが罪悪感に苦しむのは。