黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
「そういえば啓太って好きな人とかいないの?」
「えっ、あぁ……」
突然の質問に、思わずたじろぐ。
ただなぜだろう、ここでも蒼井さんのことが頭に浮かんだ。
この気持ちが何なのか、いくら考えても自分のからっぽの頭では答えを導き出してはくれない。
久保田君なら何かヒントを与えてくれるのではないだろうか……
「実は今日河川敷で、彩美女学園の同級生の女の子にたまたま会ってちょっと話したんだけど、その子のことが頭から離れなくて……今のこの気持ちが何なのかよくわからないんだ」
こんなにも自分のことを赤裸々に話したのは初めてで、何だかちょっぴり恥ずかしい。
「啓太完全に一目惚れしたな」
「えっ、一目惚れ?」
「そうやって相手のことが気になって、頭から離れなくなるのが恋なんだよ。もしかして初恋か?」
「……うん」
「くぅ~~!」
ものすごい奇声が、耳全体に響き渡る。