黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
「えっ!マジか……」
「だから僕はしゃべって、その女の子はノートに話したいことを書いて、コミュニケーションを取ってたんだ」
「そっか。でも何で話せなくなったんだろうな」
確かに理由が少し気になる。
「あっ!でもお前直接理由聞いたりしたらいかんぞ。もしかしたら言いたくないことかもしれんのだで」
「それはわかってる」
「よし。それでその子かわいいのか?」
「えっと……髪がきれいにスラっと伸びてて……あっ、色は茶色ね。それと小顔で……目がクリっとしてて……とてもかわいらしい女の子だよ」
「会ってみてぇな~。とりあえず明日もその場所に行けよ。もしかしたらまた明日も来るかもしれんし」
「うん、わかった」
それから久保田君と、明日学校で作戦を練る約束をして電話を切った。
久保田君に相談して本当によかった。
こんなにも真剣に相談に乗ってくれる友達がいるって、本当に幸せなことだ。
「あっ!そういえば……」
今日は愛犬のココの散歩担当だったことをすっかり忘れていた。
さっきまでとは打って変わって、寂しそうにたたずんでいる僕の自転車に跨って、夕焼けに明日も蒼井さんがここに来てくれるようそっとお願いをし、ゆっくりとペダルを漕ぎ始める。