黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
【最後のミッションは?】
最後のミッションが、僕の中で一番ハードルが高いものだった。
「最後は……連絡先を交換するってことなんだけど」
すると彼女は、さっきまでの勢いとは裏腹に、少し表情を曇らせながら何か書き始めた。
不安と怖さが、一気に全身を包み込む。
【ごめんね、私携帯電話持ってないんだ。】
終わった……
今日の昼休みの作戦会議のとき、としに『携帯忘れたとか、携帯持ってないって言われたら完全に脈なしだから諦めろよ』と言われていた。
今はまさにその状況だ。
今の僕の心情を表現するなら、天国から地獄に落ちたがぴったりかもしれない。
「それならしょうがないね!」
できる限りの明るい表情を作って答える。
【ごめんね。それでその代わりと言ってはなんだけど、私が今書いてるノートを使って交換日記しない?】
「えっ、交換日記?」
【うん。よかったらなんだけど…】
「全然いいよ!やろう!」
思わず声が大きくなる。
希望の光が、少しだけ見えた気がした。