黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
【じゃあ最初は啓太君からね!来週の月曜日、学校が終わったらここに集合で。私もうそろそろ帰らないといけないから行くね。】
そう書き終えると、彼女はノートを僕に渡し、体を反転させてクリーム色の自転車に向かって歩き出す。
「ふみちゃん今日はありがとう!また月曜日ね!」
できる限りの大きな声で、自転車に跨った彼女の背中に届くように呼び掛ける。
ふみちゃんは少し驚いた様子を見せながらも、昨日と同じように笑顔で手をふりながら駆け出していく。
だんだん遠ざかっていく彼女の後ろ姿を見ていると、もしかしたら彼女は妖精なんじゃないかと思えてくる。
そして今自分は現実の世界ではなくて、夢の中にいるんじゃないかと。
それほどこの二日間が自分の人生にとってあまりにも刺激的すぎて、不可解だった。
ただ一つ確実なのは、今自分の手元に“夢日記”があるということだ。
今日も空は、綺麗な夕焼けに包まれている。
これからの人生がどうなっていくのか、夕焼けにそっと聞いてみるがもちろん答えはない。
ただなぜだろう、この綺麗な夕焼けが自分の背中を押してくれていると、今は不思議と思えた。