黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
それからこの一週間にあったことなど、他愛もない会話をして、刻々と時間は過ぎていく。
そして同時に、今日としから与えられた新たなミッションを遂行する時間も、刻々と近づいてきていた。
「じゃあそろそろふみちゃんも帰らないといけないと思うから、これ渡しとくね」
“夢日記”が僕の手を離れて、ふみちゃんの元へ渡る。
【ありがとう。帰って読むの楽しみだな~。じゃあまた来週ね!】
そう書き終えると、ふみちゃんは二冊のノートを鞄にしまい始める。
これは今日の別れを告げる合図だ。
ここで言わないと、もうミッションをクリアできるチャンスはなくなってしまう。
「あのさ……よかったらなんだけど……途中まででもいいから一緒に帰らない?」
しどろもどろになりながらも、何とか最後まで伝え切ることができた。
彼女は僕が見てきた中で、一番の驚いた顔をしている。
「よかったらなんだけど……」
間に耐え切れず、思わず目を逸らしかけた瞬間、彼女の口角が上がったのが目に入った。
もう一度しっかりと視線を彼女のほうに向けて、固唾を飲む。
そして、優しさの中にも照れがあるような、そんな笑顔を浮かべながら彼女は小さく頷いた。