黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋


私も実は、友達と呼べる人がほとんどいません。


ほとんどというかたったの一人だけで、その子とは高校に入学してから出会いました。


私は啓太君と違って、今まで自分から人と関わることを避けてきたんです。


話せない私と一緒にいても、迷惑がかかるだけだとずっと思っていました。


でもその子は、高校でいつも一人でいる私のそばに、なぜだかずっといてくれたんです。


そこに会話はありません。


お互い本を読んでいるだけです。


最初は不思議で仕方なかったのですが、だんだんその子に興味が湧いてきて、思い切って啓太君とコミュニケーションを取っているようにノートに文字を書いて聞いてみたんです。


“どうしていつもそばにいてくれるんですか?”って。


そしたら『ただそばにいたいから、そばにいるだけです』と言ってくれたんです。


そのときは嬉しくて、思わず泣いてしまいそうでした。

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