黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋


するとその時、どこからか拍手をする音が耳に入ってきた。


恥ずかしさで瞑っていた目を、おそるおそる開ける。


拍手をしてくれていたのは、久保田君だった。


「黒木君最高や!俺が今まで聞いてきた自己紹介の中で、一番心に響いたわ。これからよろしくな!」


そう言うと、久保田君は握手を求めて右手を僕に差し出してきた。


突然のことに戸惑いながらも、手のひらを重ねる。


「これで俺ら友達やな」


「えっ……あぁ……」


友達だと言ってくれた人は初めてで、何て言葉を返したらいいのかわからなかった。


ただ本当に嬉しくて、堪えないと今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうだ。


「お前痛いわ!そんなに手強く握ると」


「すみません……友達だと言ってくれたことが嬉しくて、ついつい力が入ってしまいました」


「お前ほんとおもろいな」


教室に、久保田君のときとまではいかないが笑いが起きる。


「黒木君、先生本当に感動したわ。勇気を出した黒木君にみんな拍手しよう!」


今度は、久保田君のときに負けないぐらいの拍手が教室中に鳴り響いた。


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