黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
2限目 光
1.


机の上に二つの弁当箱が広がっている。


ひとつは僕ので、もうひとつはとしのだ。


特に気にしてはいないが、僕の机なのに大部分をとしに占領されていて、圧倒的に僕のほうが幅が狭い。


夢日記を交換し始めてから、もう二ヶ月が経過しようとしていた。


六月の生暖かい風が、夏の始まりを予感させる。


それと同時に最近雨の日が多くなり、梅雨がちらほら顔を覗かせていた。


今日もぽつぽつと雨が降っており、教室の雰囲気がいつもよりどんよりとしている。


ただそんなどんよりとした空気とは裏腹に、僕の心はずっと晴れやかだった。


夢日記は“第八回”まで進んでおり、ふみちゃんと夢日記を通して色んな話をできるのが本当に楽しく、今では月曜日がくるのが待ち遠しくてしょうがない。


「お前何にやにやしてるんだよ、気持ち悪い」


としのとげのある言葉が、僕の心に突き刺さる。


「ごめん、色々考え事してて……」


「どうせふみちゃんのことだろ」


返す言葉が見つからない。

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