黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
「集合場所って、萌北駅でよかったんだよな?」
「うん、大丈夫」
集合場所は、ふみちゃんの高校の最寄り駅である萌北駅に決めた。
最初は駅の近くにあるショッピングモールを集合場所にしようと思っていたのだが、仮に移動することになった場合、駅に集合したほうが効率がいいと思ったのだ。
「そういえばお前とこうやって遊びにいくの初めてだな」
左前を歩いているとしが、恋人と思い出話をするような口調でつぶやく。
「そうだね。てか僕は友達とこうやって学校終わりに遊びにいくのも初めてだよ」
「えっ、マジか!俺部活ない日に啓太と一緒に帰ろうと思っても、気づいたら教室からいなくなってるから、てっきり他のやつと一緒に帰ってるのかと思ってたよ」
「そうなんだ……」
としがそんなふうに思ってくれていたことを初めて知った。
彼は部活がない日も野球部のメンバーと帰ることが多かったので、僕は逆にその邪魔をしてはいけないと思っていたのだ。