黒板に住む、文字で彩られた僕の初恋
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ベンチに座って待ち始めてから、およそ二十分ぐらいが経過しただろうか。


学校を出るときにはひょっこり顔を覗かせていた太陽が、今の僕らの心情をあらわすかのように、いつの間にか分厚い雲に完全に覆われてしまっている。


これまでにさまざまな学校の制服を着た学生たちが目の前を通り過ぎていったが、その中に肝心の“彩美女学園の制服を着た二人組”は含まれていなかった。


待ち始めた当初は口数が多かったとしも、今では完全に黙り込んでしまっている。


「もしかしたら違う場所で待ってるかもしれないから、ちょっと探してくるね」


僕はそう言って、何個かあるベンチの中で、ただ一つ異様な緊張感に包まれているベンチから立ち上がり、としの背中側に向かって歩き出す。


もちろんふみちゃんたちを探しに行くのも一つの目的ではあるが、最大の目的は、あの緊張感に包まれている空間からいったん抜け出して、心を落ち着かせることだった。


ベンチから少し離れたところで一度立ち止まり、振り返ってみると、まるで僕の心を見透かしたかのように、としが疑り深い目で僕のことを見つめている。


いたたまれなくなって彼から少し視線をずらすと、ちょうど僕らの真向いのベンチに座っている二人組の女の子と目が合った。


胸が早鐘を打つ。


そこに座っていたのは、まぎれもなく僕らと約束をしていた、“彩美女学園の制服を着た二人組の女の子”だった。

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