堕ちる花の一片を(オチルハナノヒトヒラヲ)
それから私は渡されたメモの通りにマンションに向かった。
旦那さんはお金持ちだったようで、一人暮らしには少し広すぎるくらいのマンションだ。
必要最低限の家具と、お母さんが、お母さんをしていた頃にくれたくまのぬいぐるみと、学校に必要なもの、それくらいしかもたない私にはあまりに広すぎて、
なんだか寒気がした。
白で統一された殺風景な部屋。
それはなんだか私を捕らえておくための檻のようで、1年ほどたった今でもあんまり好きにはなれない。