堕ちる花の一片を(オチルハナノヒトヒラヲ)
私が初めてそれをしたのは確かそのとき。
自分の存在を確かめたくて、
白くて細い腕を、安物のカッターでぷつりと裂いた。
赤くて、痛くて、
あぁ、まだ痛いと思える心が私にもあるって、途方もない安心感を覚えた。
右腕から、血が滴りそうになって慌ててキッチンへ向かった。
ラグが白いからついてしまったら困る。
そんなことを気にする自分が、何故だか可笑しくって、少しだけ笑った。