堕ちる花の一片を(オチルハナノヒトヒラヲ)
今日も、私はそれをする。
たまーに、月に1回あるかないかくらい、
それくらいの頻度で、寂しくて、寒くて、泣きそうになって、そんな自分を誤魔化しきれなくなった時。
それをすると、落ちつく。
カッターをガラステーブルに置いて、本棚の上のくまのぬいぐるみを空いた左腕で抱きしめる。
もちろん温もりなんかなくて、小さい頃からずっと一緒のこのくまは、少し糸がほつれたりしている。
一人暮らしをするときに捨ててしまおうかとも思った。
だけど捨てられなかったのは、私にはこれしかなかったから。
お母さんが、お母さんとしてくれたたくさんの物のなかで、ただ一つ優しさがあったから。