【完】キミにぞっこん
「ねぇ、愛來っていうんだよね?」


「あ、はい」


「俺、星那」


「はい?」



彼女は首をかしげる。



「俺の親さ、カーレースが大好きでさ」


「あっ、あたしの親もです」


「やっぱりね。俺ら二人合わせて」


「「アイルトン・セナ」」


俺らふたりの声がハモる。


すぐに気づいた。
彼女の名前を聞いたときにすぐ。


だから、運命だって思ったのかもしれない。


こんなに人を
愛おしく思ったのは初めてで。



「これ、一緒に行かない?」


俺はスマホの画面を見せる。


「え?」



警戒心たっぷりの目で俺を見る。



こんな初めて会った男に誘われたら
だれでもびっくりするよな。


でもとまらないんだ。
とまれない。

この恋は逃したくない。
はじめてそう思ったんだから。

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