【完】キミにぞっこん
「あたしのほうが長く好きだから。最近出会った人なんかに負けないから」



莱久さんがあたしを睨む。



「いつから好きとか興味ないです」



あたしはそれだけ言って中に入ろうとする。



「ふざけてんの?」



莱久さんの言葉があたしを止める。



「ずいぶん自信あるようだけど、星那がずっと自分のとこにいるなんて思わないほうがいい」


「そんなの当たり前だなんて思ってないです」



そんなこと思わない。
前回で充分学習してるし。
充分わかってる。

ただ。
星那を信じたい。
それだけ。


「とにかくうちら入るから!温泉」



由月さんが莱久を帰らせようと腕を引く。



「話終わったら入ってもいいよ」



これ以上なんの話があるというのだろうか。


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