【完】キミにぞっこん
「あっれー?みんないるー」



後ろから智史くんじゃない、泰史さんの声が聞こえる。



「あっ…」



振り向くと、泰史さんの隣には星那がいる。



「せ…」


「星那ー!たすけてー!」



あたしの声を遮って、莱久さんが星那に駆け寄る。



「は?」



星那の視線が莱久さんに移る。



「愛來ちゃんが、あたしに星那に近づくなって言うの!同じ部署だから仕方ないのに」



〝困っちゃう〟


なんて、上目遣いで星那を見る。



「…愛來が?」



星那の視線があたしに移る。


でも、いつもの優しい瞳じゃなくて。

ちょっと怒りを含めた瞳で。



「せ、な」



恐る恐る星那に声をかける。


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