【完】キミにぞっこん
「愛來ちゃん?」



温泉に使っていると頭上から声がする。



「あ…」



由月さん…。


声に出そうとしたけど、声にならなくて。

逆に大量の涙が溢れてきて。



「ちょ、愛來ちゃん!」



慌てて、温泉の中に入ってくる。



「すいませんっ」


「我慢しちゃだめ。泣きたいだけ泣きなさい」


「はい」



温泉の中であたしを抱きしめてくれる。



「そろそろ上がらないとのぼせちゃうかも」



なんて言ったときには結構もう意識朦朧で。



「いったいどんだけ入ってたのよー」



って頭を撫でられたけど
なんだか頭の中がふわふわしてて。


意識を手放しそうだった。


手放しそうな意識のなか
頭に浮かぶのはやっぱり星那で。


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