【完】キミにぞっこん
「莱久さん、どうしたの?」



あたしは星那と莱久さんの元に駆け寄る。



「いや、ちょっとな。俺はここに残るから。朝ごはん食べに行っといで」



莱久さんの背中をさすりながらあたしにそう告げる。



「…うん」



納得できない気持ちもあったけど
いまは行くしかできなくて。



「…行ってくる」



それだけ告げて星那に背を向ける。



やっぱりあのふたりは
年数が比じゃないから。


分かり合えてる。



「てかさ、サインもらえるかな?」



早瀬が呑気に騒ぐ。



「もらえるかもね?」


「愛來ちゃん元気ないね…」



あたしの声に早瀬が寂しそうな顔になる。



早瀬はほんとペットみたい。


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