【完】キミにぞっこん
「ファンになりきってここから抜けましょう」



奏汰さんに耳打ちをする。



奏汰さんは指で丸を作って。


ゆっくりゆっくり
あたしと早瀬と歩いていった。


あまりに早すぎると気づかれちゃうから。



「ありがとう」



ファンから抜けきって、見えないとこに移動しきったとき、奏汰さんの顔が笑顔になる。



「いえいえ!トイレでも行きたいのかなって思って」


「え?」



あたしの話にくすくす笑う奏汰さん。



「ごめん、トイレじゃないよ」


「え、やだ。違うんですか?」


「朝食会場ってどこかわかる?」


「え、こっちです。あたしたちも行くので」



あたしと早瀬は朝食会場に向かって歩き出す。


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