【完】キミにぞっこん
「なーにそんな荒れてんの?」



頭にぽんっと手を置かれる。



「智志くん」



智志くんがあたしの向かいに座る。



「なんかあった?」



あの頃の優しい瞳で見つめてくれる。



「ううん。飲みたいだけ」


「そ」



絶対他にあるってわかってるはずなのに
なにも聞かないでいてくれる。
智志くんのそういうところが大好きだった。



「なにー?ふたりってよりでも戻した?」



北条さんがあたしたちを交互に見る。



「バカ。そんなわけないだろ。傷つけたのに」



智志くんが北条さんの頭を叩く。



「あれ、」



智志くんが反対側を見る。



「智志?」



北条さんが首を傾げる。

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