【完】キミにぞっこん
「お願い。愛來。黙ってたんじゃわかんないよ」


「…んで」



言葉がうまく出てこない。

こんなことで怒るのはおかしいことなのか。
星那が大人だから。
こんな子供じみた訴えしても受け止めて貰えないんじゃないだろうか。



「ゆっくりでいいから。聞かせて?」



あたしの頭を撫でる。



「なんで、いるの」


「え?」


「こっち帰ってきてるならなんで教えてくれないの」



我慢していたつもりだった。
でも、いざ言葉にしてみると
簡単に涙って出てくるもので。



「ごめん。仕事から真っ直ぐきて時間なくて連絡できなかった」



星那の表情を見るだけで
嘘なんかないってわかる。


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