【完】キミにぞっこん
「いや、そんな俺仕事できるわけじゃないし」



そんなかわいい目で俺のことを見られると
理性が飛びそうになる。



「早瀬が言ってましたよ。如月さんはすごいって」


「へー?早瀬が?」


「なんか憧れてるらしいです」


「ふーん」



あの犬みたいなやつ。


〝早瀬〟って呼んでるんだ。



「あいつなかなか鍛えがいありそうだからな」



俺はあの犬を思い出して笑う。



「たくさん鍛えてやってください」


「早瀬のことすきなの?」



俺は彼女の顔をのぞきこむ。



「え?」



きょとんとした顔になる。



「好きなんじゃないの?」


「いえ、ただの同期です」


「ふーん。よかった」



俺はそれだけ言って、視線を彼女から逸らす。


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